貧乏エンジニア漫遊記

大手造船会社エンジニアが世界を股に掛けた、面白奮闘記です!

29.韓国編(3)

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貧乏エンジニア漫遊記
韓国編(3)

ソウルは、緯度は新潟ほどだが、気温は札幌に近い。冬、よく氷点下10度以下になる。しかし晴天が多くドライで快適だ。ただ、町を歩いているとよく転倒する。歩道に凹凸があり、溜まった水がすぐ凍るので滑りやすい。

ある日曜日の朝、鐘路の昌慶苑(現在は昌慶宮)の横を歩いていた。門近くを見ると、塀に沿って靴磨きが数人並んでいる。靴磨き台にのせた靴の底が朝日を受けて光っている。その光り方が鋭い。近寄ってみると、なんと、全員がスケートのエッジを研いでいるのだ。韓国には期間限定だがスケート磨きという職業があったのだ。苑に入ってみると、池の一部にロープを張った一角があり、若者や子供達がスケートをしている。青天井の下、ブリューゲルの絵のようだ。

よし、私もスケートを練習しよう。決心してスケートを買いに行った。ところが、スケートに2種類あるのを知らなかった。エッジが短く先の丸いフィギュア用と、エッジの長いスピード競技用だ。素人の悲しさ、エッジが長い方が安定しているだろうと思って、スピード競技用を買った。これが間違いだった。転倒防止には、小回りの利くフィギュア用が向いていたらしい。翌日颯爽と昌慶苑に乗り込み、スケートを履いて、すっくと立った、と言いたいところだが、すぐに転んでしまった。周りの子供達が一斉に笑う。恥ずかしいが、めげずに立ち上がる。また転ぶ。結局10回ほど続けて転んだ。笑っていた子供達が、見かねて、助け起こしてくれながら韓国語で叫ぶ。「頑張れオッチャン」と言っているらしい。

とにかく子供達のおかげで立ち上がれた、初日はそれでお仕舞い。次の日またチャレンジした。この時は5メートルほどよちよち歩いた。そして転倒。また5メートル、転倒。それを繰り返した。しかし、日毎に転倒しない距離はのびていった。そして一週間後、遂に、ロープ張りの内側を転倒せずに一周できた。子供達が寄ってきた。彼らは毎日観察していたらしい。私を中心に皆で輪になって叫んだ。雰囲気から察するに、「万歳」と叫んでくれたらしい。終戦以降、掛け値なしに韓国人に万歳をしてもらった日本人は、私だけだろう。子供は素晴らしい。世界中、どこの子供も素晴らしい。

さて。ここで韓国料理について一言。皆さんは「定食」をどう思われるか。日本語で定食とは セットランチ のことだが、韓国ではフルコースを意味する。これが素晴らしい。料理が、長方形の個人別チャブ台の上に、金属のボウルで20以上一度に出てくる。真っ赤な唐辛子料理はむしろ少ない。淡白な野菜や海草類の料理が多い。ビタミンとミネラルに富み、栄養のバランスがとれている。いささかオイリーだが気にならない。韓定食は世界中の料理の中でも推奨できる一品である。

しかし、一品料理も良い。日本ではチゲ類が良く知られている。その中では豆腐チゲが良い。これは、キムチその他の具に大豆汁を加え、石鍋の中で煮たものだ。豆腐状になるが、液体に近くごく柔らかい。サンゲタン(参鶏湯)やソーロンタンなどのスープ類もいける。しかし煮込み料理のコプチャンチョンゴルが最高だ。味はキムチ味だ。具はあれこれ一定しないが、長さ3~4cm程の豚腸の輪切りが必ず入っている。腸の中は詰まっている。つまり豚が食べた餌がそのまま入っているわけだ。胃を経て醗酵しているので問題はない。ただし腸の中身は、腸が下流になるほど雲地に近づく。これは問題だ。それで、下流の腸は韓国では使わず、切り開いて洗い、ミノとして日本に輸出していると言う。

だんだんゲテ物の話になってきたが、豚の尾テイ骨のスープもいける。南大門近くでこれを食わせるところがあった。豚の尾テイ骨は多孔質だ。ポツポツあいている微細穴の肉を爪楊枝でほじくり出して食う。ここまでくれば韓国料理の通と言うことができる。

公開日:
最終更新日:2016/02/22


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