貧乏エンジニア漫遊記

大手造船会社エンジニアが世界を股に掛けた、面白奮闘記です!

33.米国編(2)

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貧乏エンジニア漫遊記
アメリカ編(2) 豊かさ、銃規制

アメリカで訪れた工事現場の一つにバトン・ルージュがある。夜遅く食事に出かけたが、レストランが全て閉まっている。やっと一軒、ファーストフード店を見つけた。客は居らず店を閉めようとしている。あわててパンと鶏の唐揚げを注文した。5ドルほどだった。ところが店員が何を思ったか、大きな紙袋の中に唐揚げをどんどん入れる。

「チョッと待って。全部で5ドルだよ」 私は慌てて言った。
「5ドル。イエス」 彼は平然と答え、唐揚げを入れ続ける。
「5ドルだよ。お金はそれ以上払えないよ」
「No problem.。売れ残りは捨てにゃ-ならん。2,3日はもつ。遠慮は無用」

と言われて、断りもならず、「日本はとんでもない国と戦争したもんだ」と驚きながら重い紙袋を下げてモーテルに帰った。これは1979年のこと。今の日本でも売れ残りは捨てると言う。日本も豊かになったものだ。

しかし、アメリカや、最近の日本の豊かさは間違っている。世界中に飢えた人間が溢れている。私たちの世代は、売れ残りでも捨てることは罪悪に思えるのだが、どうだろう。

さて、このバトン・ルージュだが、皆さんのご記憶にあるだろうか。ここでは、先年ハロウィンに、仮装した日本人留学生が間違って住民に射殺された。この時、日本の論調は「銃社会は悪い」の一点張りだった。銃社会は悪いに決まっている。しかし私の感想は、犠牲となった留学生とその家族には申し訳ないが、いささか異なる。アメリカは、留学生が生まれる前から銃社会だったのであり、アメリカ人自体も銃社会でよいとは思っていない。ただ、その社会を変える事ができないでいるのだ。銃社会を責めても何も改善しない。

留学生の親は、息子の離日前、銃や銃社会について、充分に息子に教育しただろうか。世界中に、銃を自由に持てる国は多い。また徴兵制の国も少なくない。むしろ日本の方が特殊な国なのである。

留学生も、その親も本物の銃に触った経験はなかったのではないか。伝染病の流行地に行く前には、ワクチンを打って行くほうが良い。同様に外国に行く前に、銃に対する知識を十分に持っている方が望ましい。できる事なら、警察官立会いで、希望者に銃の練習ができるようにしてはどうだろう。

私の少年時代(昭和20年代)には、私も友人達も空気銃に自由に触ったし、コウモリ傘の柄を銃身にして拳銃らしきものを作って試射していた。火薬は運動会のスタートガン用の物だった。充分とはいえないまでも、銃に対する知識はあった。拳銃を向けられて“Freeze !” と言われれば、それこそ固まっていただろう。

この事件では、発砲したアメリカ人を咎めることはできない。勿論留学生やその親が悪いのでもない。無条件に銃を厭む日本人社会に問題があると思う。アメリカ人と銃について議論すると必ず次のようになる。

日本人  「銃のない世界が理想的だ」
アメリカ人 「その通り」
日本人  「統計によれば、銃を持たない人間のほうが、死亡率は低い」
アメリカ人 「その通り」
日本人  「じゃー、なぜ銃を持つんだ?」
アメリカ人 「他の奴が、既に持っているからだ」
日本人  「ムム」

銃は持たない方が良い。また撃たれない方が良い。それには、狭い日本の田舎でじっとしているしかない。しかし、これからは国際化の時代だ。アメリカでの銃規制を云々する前に、日本人自体が銃について学ぶべきだと思う。世界に出て行かねばならない日本の若者の前途は多難だ。

公開日:
最終更新日:2016/02/22


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